About Us
新しいファッションや流行を、追いかけた時もあった。けれど、もっと必要な服がある。今では欠かせない相棒になった、バイクのように。
(代表者より)ジャック・ケルアックの書いた小説、「オン・ザ・ロード(路上)」は、第2次大戦後の様々な文化に影響を与えたと言われる。ディランもボウイも、愛読書の筆頭に挙げる。
不思議な書物だ。人に勧められるような、筋書き的な面白さはない。でも離れれらない。
「移動」について、書いてある。行間から、カッコいいファッションが、浮かんでくる。
映像や写真に撮られたわけではないから、完全に想像だけれど、そこではホーボーたちが、オーセンティックなワークウェアやミリタリーアイテムを、それぞれ自己流に着こなしている。妙な場所に、プリントや刺繍が入っていたりする。
流行とかじゃなくて、その人が着る事で、よれたり擦り切れ具合も、カッコ良くなっている服(ピカピカな感じ、無闇に着飾ってたり、パッと見、新品と解る服は、バイク乗りではカッコ良く見えない)。
On the road again.
ファッションの世界で、様々な仕事をした。(服を)買い付けて、作って、書いて、撮って、専門学校で教えて(モードカレッジで講師として長年ファッション撮影やグラフィック作成を担当した)・・・何かを見つけようとして、世界も巡った(アパレルの世界は、それほど大きいものとは言えなかったけれど)。
長い間、車が相棒だった。F1レースでセナが走るのを、海外まで観に行った事もある。バイクに乗ったのは、随分後になってからだ。
4ストロークのツインエンジンを両脚で挟んで、風の中に入っていった時、「あの頃懸命に追いかけていたもの、世界中探しまわったものが、ここにある」と思った。
同時に「あるけど、無い」とも思った。
何が?
そう、バイクに乗る時の服。
レザーやプロテクターなど、身を護る機能が最重要なのは当然として、着たい感じの服が、正直あまり見当たらなかった。バイクに乗る時は、カッコいいスポーツカーに乗る時よりも、全身丸見えなのにね。
どんな形、とはっきりと分かっている(ならそれを買えばいいだけの話)わけではなく、手探りをしているうちに、社内外に仲間が増えていった。
「やっぱ、マイプライベートアイダホのキアヌとリヴァーは、神だよな」とか言いながら。
心ある人たちの支えで、全国商工会の審査にパスして支援を受け、サンプルを作り店に置いた。
ローリング・ストーンズのポスターに囲まれた試着室のある場所に来てくれた方々と、日々、あれがカッコいい、これがカッコいいという話を繰り返している。
既に誰かがカッコよくしたものを、上から下へ伝えるような、従来のファッションやアパレルみたいな形ではなく、作るものは、人々とのコミュニケーションの中で変わってゆく。当たり前だけど、着る人が、主役なんだ、って、サラリーマン時代にさんざん味わったモード業界人的な空気に染まると、判らなくなってくる。
追いかけるだけでは、追いつけないものがある、バイクに乗って風と一緒になった者は、それを知っていると思う。
「バイクには、偉大な師のような部分がある」と書いたのは片岡義男氏だったと思うけれど、まったく同感だ。諭すのではなく何かを悟らせてくれる、賢者の思想みたいなものを感じるのだ。
服が、そんな存在になれたら、偉大な師ではなくても、長く共に居て、様々な事を(一緒に)感じ、どこかへ連れて行ってくれる親友みたいな導師(グル)、そんな服を、バイクに乗るときに着られたら、素敵だよな、まったく。
じゃあ、どんなモノ?と訊かれたら、ずばりコレとは言えないのだけれど、やっぱり...でも、日々近づこうとしている。それは、間違いない。
2022年2月、このサイトを公開したら、見ているのが半数近く海外の人だったのは驚きだった。アメリカ人がほとんどだけれど、ウクライナで、見てくれている人もいた。
これが私たち、About Usです。一緒にいなくても、同じ方を向いていなくても、服で、共に風の中を走っている、そんな気分になりたい。
「友よ」トライアンフに乗っていたボブ・ディランは歌う。「答えは風の中にある」。
平和を、とにかく平和を。
+++関連リンク+++